実家を手放すことになったのは、父が亡くなったことがきっかけでした。
父が亡くなったのは2021年。
それから家は空き家になりました。
最初の一年くらいは、正直どうしたらいいのか分からない状態でした。
実家をどうするのがいいのか、すぐには決められなかったんです。
売るべきなのか。
残しておくべきなのか。
それとも誰かに引き継いでもらうべきなのか。
いろいろ考えて、まずは親戚に相談してみました。
畑や山林も含めて、「誰か面倒を見てくれる人はいないだろうか」と。
一度は引き受けてもいいという話も出たのですが、家族の中で意見がまとまらず、最終的にはその話はなくなりました。
そこで初めて、市役所の空き家相談のことを知り、相談してみることにしました。
ただ、その時もまだ「絶対に売ろう」と決めていたわけではなかったと思います。
最初に現れた買い手と、感じた違和感
その後、空き家の所在する空き家バンク制度を知り、登録すると、わりと早い段階で「買いたい」という方が現れました。
話も進み、契約の直前までいったこともあります。
でも、やり取りをしていく中で、どこか引っかかるものがあったんです。
せっかく買いたいと言ってくれているのに断るのは、正直迷いました。
家が売れるというのは、やっぱり嬉しいことですから。
それでも最終的には、「この方に売るのはやめよう」と判断しました。
実家となると、普通の不動産とは少し違うんですよね。
ただ売れればいい、という気持ちにはどうしてもなれませんでした。
実家は「売ったら終わり」ではない
私たちが一番考えたのは、「売ったあと」のことでした。
実家というのは、ただの建物ではありません。
代々住んできた家には、それなりに近所付き合いもありますし、親戚との関係もあります。
家を手放しても、地域とのつながりが完全に切れるわけではありません。
だからこそ、
どんな人が住むのか。
近所の人たちとうまくやっていける人なのか。
家を大事にしてくれる人なのか。
そういうことは、どうしても気になります。
売って終わり、という気持ちにはならないんです。
売れるまでには、けっこう時間がかかりました
そのあと、すぐに次の買い手が見つかったわけではありませんでした。
結果的に、売れるまでにはけっこう長い時間がかかりました。
その間は、畑の草刈りなど、空き家を維持するための管理も大変でした。
それでも今振り返ると、あの時、違和感のある相手に無理に売らなくてよかったと思っています。
最終的にこの家を買ってくれたのは、子どもがいるご家族でした。
家族でこの家に住んでくれる。
子どもの声が聞こえる家になる。
高齢化が進んでいる地域にとっても、子どもの声が聞こえる家庭が住んでくれることは、とてもいいことだなと思ったんです。
早く売れることももちろん嬉しいことですが、結果的には、今の家族に買ってもらえて本当によかったと思っています。
これから実家を手放す人へ
実家をどうするか悩んでいる人は、きっと多いと思います。
私たちもそうでした。
ただ、今振り返って思うのは、焦って決めなくてよかったということです。
実際に売却するまでには、数年かかりました。
でも、その時間があったからこそ、「この人に託したい」と思える方に出会えたのだと思います。
代々住んだ実家は、売ればそれで終わりというものではありません。
売ったあとも、その家はそこにあり続けます。
だからこそ、値段やスピードだけではなく、
「どんな人に住んでもらうのか」ということも大事にしていいと思います。
自分が納得できる形で次の人に引き継げたとき、
実家を手放すことへの気持ちも、きっと少し違ってくると思います。


